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この暑さ何と形容したらいいんでしょう?言葉が見つかりません。熱中症に注意して下さい  

[2025.07.10]

7月10日午後京都みたいに暑いなと言いながら車の温度計を見るとなんと40.5℃!!私が子供のころプールで体が冷えるとプールサイドのコンクリートに寝転んで体を温めていました。今ではコンクリートの上では卵を落とすと目玉焼きができそうで、火傷するのでとても素足で歩けません。そこで、熱中症についてのお話です。

熱中症の病態と対策

背景と重要性

熱中症は、高温多湿な環境下で体温調節が破綻し、体に熱がたまることで起こる健康障害です。日本の夏は地球温暖化とヒートアイランド現象の影響で、従来の温帯~亜熱帯から熱帯に近い気候に変化していると指摘されています。2019年時点でも、7~8月に患者が多く、5月や9月にも死亡例があることが報告されていますが、2025年現在ではその傾向がさらに強まっています。

最近のデータでは、2024年5月~9月の熱中症患者数が97,578人に達し、過去最高を記録しました。特に高齢者(65歳以上)が57.4%を占め、死亡者も120人確認されています(The Japan Times)。

病態:身体の変化とリスク

暑くなると体は汗をかき、蒸発による気化熱で体温を下げようとします。しかし、高湿度(75%以上)では汗が蒸発しにくく、熱が体にこもります。汗には塩分も含まれるため、水分・塩分が不足すると血液のバランスが崩れ、体温が上昇します。体温が41.6~42℃を超えると、細胞のエネルギー産生(酸化的リン酸化)が障害され、酵素が働かなくなります。サイトカインという炎症物質が増え、肝臓、血管、神経など熱に弱い臓器がダメージを受け、多臓器不全に至る場合があります。

特に日本のような高温多湿の環境では、発汗による冷却効果が不十分で、熱が体内に蓄積されやすいです。研究では、2081~2100年までに熱中症の発生が1.57~3.66倍に増加すると予測されており、高齢者(≥65歳)のリスクは人口動態を考慮すると5.5倍に達する可能性があります(ScienceDirect)。

症状の種類と進行

熱中症は以下のカテゴリーに分けられます:

種類

原因

症状

特徴

熱失神

暑さで血管拡張、脳への血流減少

めまい、ふらつき、短時間の意識消失

作業開始直後に起こりやすい

熱痙攣

塩分不足(水だけ補給)

足、腕、腹部の筋肉けいれん

水だけでは低ナトリウム血症リスク

熱疲労

脱水による水分不足

脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気

水分補給が追いつかない場合

熱射病(重症)

体温調節中枢麻痺、発汗停止

体温40℃以上、意識障害、汗が出ない、皮膚乾燥

死亡率高く、即時対応必要

重症化すると、意識がなくなり、ガクガクとけいれんが起こることもあります。ヒトが耐えられる最高体温は41.6~42℃で45分~8時間、49~50℃では5分で死亡する可能性があります。

年齢分布とリスク

熱中症は「体の弱い人だけがかかる病気」ではありません。Xの投稿や統計データでは、若年者でも死亡例があり、「若くて元気だから大丈夫」という考えは危険です。特に2024年のデータでは、高齢者が患者の過半数を占めていますが、職場での死亡例も30件確認されており、労働環境でのリスクも高いです(The Japan News)。

対処法:現場での対応

軽度の熱中症が疑われる場合でも、必ず医療機関を受診させましょう。現場での対処は以下の通り:

  • 軽症:涼しい場所に移動し、スポーツドリンクで水分・塩分補給。顔色が悪い、フラフラしている場合は横にさせ、足を少し上げて医療機関に搬送。
  • 重症:意識がない、錯乱状態ならすぐ救急車を呼び、体温を冷やす。冷却方法は、日陰に移動し、38~40℃のぬるま湯をスプレーし、扇風機で風を当てる。首、脇の下、股間にシャーベット状の氷を置く。冷たすぎる水は血管収縮を招くため避ける。

予防法:個人と職場の対策

予防は熱中症を防ぐ鍵です。以下の対策が推奨されます:

  • 個人対策
    • 水分・塩分補給:スポーツドリンクを活用し、作業前からこまめに摂取。「喉が渇く前」に飲む。注意していただきたいのはスポーツドリンクをお茶代わりに飲むと血糖値が上がり糖尿病が表れてくることもあります。麦茶と梅干、もしくは塩飴で水分塩分のの補給をしてください。
    • 体調管理:夏場の飲み会で二日酔いにならないよう注意。下痢や発熱時は無理せず休養。
    • 炎天下の運動:ゴルフ、テニスをする時には前日のアルコールは控えて、当日はコーヒーも控えてください。いずれも利尿作用があり、脱水を起こすリスクが高まります。
  • 職場対策
    • 環境改善:炎天下では日よけを、固定作業場ではスポットクーラーや送風機を活用。ただし、送風機は熱風にならないよう注意。携帯型扇風機はミストと一緒に使用で冷却効果あり。
    • 休憩室の空調:外気温より5~7℃低めに設定(急激な温度差は熱虚脱の原因)。
    • 水分補給環境:水筒持参やクーラーボックス設置で、いつでも飲めるようにする。

2025年6月1日から、労働安全衛生法の改正により、職場での熱中症対策が義務化されます。WBGTが28℃以上1時間以上続くか、気温が31℃以上の場合、事業者は以下の措置を講じる必要があります:

  • 熱中症リスクのある作業者を特定し、内部報告するシステムを確立。
  • 緊急時の治療マニュアルを作成し、症状悪化を防ぎ、医療機関への搬送を確保。
  • 作業者に講じた措置を周知。 違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります(The Japan News)。この規制は、2024年に30件の職場での熱中症死亡、1,195人が4日以上休職したことを受けて導入されました。

気候変動と長期予測

気候変動の影響で、日本の夏はますます暑くなっています。Xの投稿では、2024年に東京や静岡で40℃を超える記録的な暑さが報告され、2025年6月も同様のリスクが予想されています(X postX post)。研究では、2081~2100年までに熱中症の発生が1.57~3.66倍に増加すると予測されており、特に高齢者のリスクは人口動態を考慮すると5.5倍に達する可能性があります(ScienceDirect)。

統計と最近の動向

  • 2024年5月~9月の熱中症患者数:97,578人(過去最高、The Japan Times)。
  • 死亡者:120人(同期間)。
  • 高齢者(65歳以上)の割合:57.4%。
  • 2025年6月からの新規制:職場での熱中症対策義務化、罰則あり(The Japan News)。

まとめ

熱中症は命に関わる病気で、気候変動によりリスクが増加しています。個人では水分・塩分補給、職場では環境改善と新規制への対応が重要です。異変を感じたらすぐ医療機関を受診し、予防を徹底しましょう。

主要引用文献

 

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